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なぜだいたいの人が「印象派が好き」というのか

父にコラージュ作品を見せたら「印象派みたいな風景画かかないの?」といわれました。今回はなぜいろんな人が「印象派が好き」と言うか、について考えます。たぶんこのブログを読んでいる方の中にもいるかと思います。私も見飽きた感はありますが元々嫌いではありませんし、好きであることは悪いことではありません。しかしこの記事を読んだあと本当に好きか?と自分自身に聞いてみましょう。

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Claude Monet, "Waterlilies, Green Reflection, Left Part", 1916.

さて「○○が好き」というのはどういう意味なんでしょう。
私は「好き」イコール「慣れている」「理解できる」という風にとっています。例えば私は猫の柄で一番好きなのはキジトラです。それは小さい頃にキジトラ柄の猫を飼っていたからだと考えられます。また「母の味」がすばらしいと感じるのは母親の料理を食べる頻度が多いからで、生命維持のためか舌にある細胞が与えられた環境で与えらる食事を「好む」ように変化した、と考えています。「物体」そのものに好きになる要素が元々秘められるということは考えづらいです。実際人の好みはバラバラだからです。食べた事がないものを「好き」というのは不可能です。あまり馴染みがない海外の料理がはじめ「変」だと感じるのは、まだ舌がそういった味に慣れていないから。海外の人が我慢してそれを食べているのではなくて、海外の人も生きるために現地で採れるものを好むように舌と考えが変化したと考えられます。「ウニ」や「ビール」は大人の味と言われますが、大人になったから好きになるのではなく、慣れたから好きになります。

「印象派の絵が好き」というのは日本に印象派の展覧会が頻繁に来る事と、小さい頃から抽象的な絵より写実的な絵、ぐちゃぐちゃなものより技術があり「きれい」なものを好むように教科書なり、メディアなり、親なりに教育されて慣れてきたからだと思います。はじめから「きれい」なものがすばらしいものだと生物学的にインプットされていると私は思いません。国や時代によって美意識がだいぶ違うことがそれを証明していると思います。たしかに印象派は好きになりやすい要素をたくさんもっています。モネの色彩感覚は相当優れていると思いますし、タッチが繊細です。モチーフも女性だったら花だったり、きれないものを選びます。「きれい」だと思う物にはある程度生物学的理由があるかもしれません。でも「きれい」=「すばらしい」「好き」というものは社会によって決められることが大きいと思います。印象派の絵も発表当時は「下書き」だといわれ見下されました。ゴッホは生きている間一度も絵を売った事がありません。今ではこんなに賞賛されるのにもかかわらず。それはその当時の価値観が「ていねい、技術」=すばらしい が一般だったからです。

前の「リアル」な絵画についてかいた記事にもかきましたが、なぜ何千年もあったのに古代エジプトの壁画はいつまでも「リアル」にならなかったのか。なぜ江戸の人は浮世絵でエロ妄想ができるのか。なぜ一昔の漫画の絵が「古い」と感じてしまうのか。美大の受験生がたった2年くらいで写実的に絵がかけるのに、過去に死んでいった江戸時代の人や古代エジプトの人が何億もいるのに、その中に一人も今の受験生程度の「才能」を持つ人がいなかったと考えるのはあまりに不自然です。ということは現代は「写実」というスタイルが慣れ親しまれたトレンドになっていて、そのうちそのスタイルも「古い」「技術不足」だと感じる日が来るかもしれません。

数学が嫌いな人は数学ができないひと、理解が難しいと感じる人です。得意な人ほど「好き」だと感じます。現代美術も「わからない」と感じてしまうと「嫌い」になってしまいます。現代アートも学問と同じようにある程度の知識やわかろうとする気持ちが必要です。また、好きなものは慣れたもの、わかるもの、を逆に考えると慣れればほとんどのものが好きになれるという風にも考えられます。

慣れている物を好きでもいいと思います。でもなんとなく社会決められたものを好きになるってくやしいじゃない?(^^) ここまで読んで本当に印象派が好きだといえますか?慣れているものを好きだと思っていませんか?嫌いな物を好きになるチャンスを与えていますか?私はいろんな作品を見て理解した上ではじめて自分の好みを発見できると思います。

最後に、現代アートは「ゴミ」「嫌い」と決めつける人もいますがその人たちにいいたい、現代アートを分かろうとしたことがあったか?と。一部のアートを見て決め付けてはいないかと?音楽、舞台、映画、文章、アニメ、漫画、今までに何億も作られています。99%はゴミでしょう。人に「好き」だと思われるのはわずか1%。現代アートも同じように99%がゴミです。私も作品はそれなりの量は見てきましたが、作家の名前まで覚えているのはほんの少しです。99%の一部をみて学問の分野を全体を否定するのはちょっと早とちりじゃないかなぁって思います。気持ちは分かります!私も理解できなかったときは嫌いでした。見えること=理解できるはず という固定概念があるのかわかりませんが、他の分野に比べて現代アートは嫌われやすいですよね。音楽で嫌いな曲があっても「音楽嫌い!史ね!」と存在まで否定する人はなかなかいませんし、ただ好みにあわなかった、って思う人がほとんどでしょう。現代アートもいつかそういう風に思われるようになったらいいなぁ。

関係ありませんが、来週卒業展覧会です。卒展にのせる作品一部もサイトにアップしたので、よかったらみていって下さい。いつか日本で展覧会したいなぁ~。
http://saorimoriizumi.com

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