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ろくでなし子さん逮捕について書こうとしてやめた

2015/1/6 追記でコメントの返事を書かせていただきました。

ろくでなし子さんの2度目の逮捕について、いろいろ思うところがあり、猥褻の定義とは、エロスは時代で変わる、刑法175条と表現の自由、など長ーい文章にまとめはじめたのですがやめました。そんな文章ネットにいくらでもあるので、かわりに私の大学院の思い出の日記でも書こうと思います。

ろくでなし子さんについて知らない方はこちらへ:
http://newsphere.jp/national/20140725-6/
http://www.asahi.com/articles/ASG947WFSG94UTIL061.html
http://youtu.be/A5qq4cXoR9w
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大学を卒業して、私はフィラデルフィアにある大学のアート修士課程に入学しました。大学時代4年間、イリノイ州のコーン畑の真ん中のど田舎町ですごした私にとってはフィラデルフィアはかなりの大都会。大学院ですごした2年間は、私の人生の中で最も刺激的で、狂っている人に会い、楽しかったです。

忘れもしない大学二年生最初のプレゼン。学部全員が自分の作品をパワーポイントにまとめて教授やほかの生徒に発表するというもの。そのとき1年生に会うのははじめてのことで、みんなどんな作品を作るかも知りませんでした。1年生の一人にタラちゃんという写真家の女性がいました。彼女はがっしりした体系で身長は低くめ童顔で笑った顔が子供っぽいので若く見えるのですが当時30代半でした。彼女のことを有名なディズニーキャラクターに例えるならプーさんに似ていました。
pooh.jpg

彼女の発表の番になり、彼女が自分のUSBをパソコンにつなげ、パワーポイントを起動させました。彼女のウェブサイトが現在は落ちているので、実際の作品をそのままお見せできないのが残念ですが、かわりに私のつたない説明文と絵とネットからみつけた適当な画像で、そのときの作品を再現したいと思います。

まず、カメラのアングルは若干下からの構図です。

1_20141215015741ddd.jpg


テーブルの中央に5段くらいのシャンパンタワーがあり

TOWER2.png


そのシャンパンタワーの上に、下半身を露出させて足を広げて立って人がいます。

3_20141215015437110.jpg



その人が大きなビール瓶を片手で持ち、がぶ飲みしています。

4.jpg



よく見ると足の間から黄色い液体を表していると思われる線が出ており、シャンパングラスの液体の正体が分かります。

5.jpg



その足を広げている人物は、そのとき発表会をしていたタラちゃんでした。

6.jpg

最初の自己紹介で大きなプロジェクターから大画面で自分の下半身さらけ出したタラちゃん。一人のクラスメイト(男)が「こんなのアートじゃない」とか言って、怒って教室を出ていきました。しかし、タラちゃんは何事もなかったかのように淡々と発表を続けています。その時私は思いました。

なんてかっこいいんだ...たらちゃん!!

このときえらく感動したのを覚えています。帰国子女と言う少し変わった生い立ちとはいえ、中学校と高校一説によると一番感受性の豊かな時期にメディアでは美人で若くて可愛いおしとやかに笑う天使のような女性がもてはやされブスなんて存在しない生きる価値あるの状態の日本という国のしかも女子校で教育を受けたサラリーマンの父と専業主婦の母といった昭和時代の理想的な家庭に育てられたごく普通の一般ピープルウーマンだった私にとって、タラちゃんの存在は衝撃的でした。アート作品そのもの事態がすばらしいとお思ったというより、恥ずかしがらず自分の体をさらけだし、社会の常識にとらわれない、力強いタラちゃんのアクションに感動しました。そしてたらちゃんが大好きになりました。

しかし、実際一学期早々にクラスメイトの下半身、しかも若干下からのアングルで大画面で見るというものはけっこうエグいものがあります。でもそのときのタラちゃんの写真作品は今までみてきたどんなギリシア彫刻、油絵、映像、写真、ポスターよりも、女性の体をリアルに考えさせてくれました。女性がみんなあんなポルノスターみたいな美しい体してないし、そういう体してないからって人に見せちゃいいけないわけでもないし、女性の体そのものがエロいんじゃなくて見ている人がそういうフィルターかけているんだよなぁ、とかいろいと考えた訳です。

みんなが体を自由に場所をわきまえず裸になっていい世の中にしたいとかいっている訳ではないです。ろくでなし子さんも、いやがる人に無理矢理自分の体を見せた訳でもないじゃないですし。タラちゃんの写真のように人の下半身だからってからならずもエロスになるとは限らないし、逆に無機物(ニーソックスとかね)にエロスを感じる人もいます。

タラちゃんやろくでなし子さんのような女性が世の中にいると私は安心します。彼女らの行動を批判する人がたくさんいることも知っています。でも、彼女は別に人の気分を害したくてやっているわけではなく、訴えることがあるから結果的にああいう行動に出ていると思うのです。行動だけをみて批判するのではなく、その行動に至ったまでの経緯や考えを理解しようとしてみたほうが有意義だと思います。刑務所に入ってまで訴えたいことってなんなんだろうって。

どうあがいても他人の気持ちや苦しみを完璧に理解することは不可能だと思います。私がいくら脳内でイメトレして、いくら人の話を真剣にきき、いくら文献をよんで、いくらドキュメンタリーをみても、男として生きる辛さや、ずっと黒人差別を受けて育った人の気持ち、同性結婚がしたいけどできない人の気持ちを、などなど他人の気持ちは完全に理解することはできないです。結局自分のことと自分の育った環境のことしかわからないんです。だからこそ自分には理解できないこと、見慣れないこと、びっくりしたことは、否定から入るのではなく、できるだけ一生懸命耳を傾けるように努力したいです。どうせ本人にしか本人の苦しみは分からないんだから!何か辛いことがあってそれを訴える人がいたら、我慢しろ、みんな我慢している、って言うんじゃなくて、みんなも辛いことを言い合ってお互いを許しあう緩〜い世界になればいいと思うよ。

最後に素敵なおばあちゃん、ルイーズ•ブルジョワさんの写真でお別れです。
LouiseBourgeois
Robert Mapplethorpe, "Photograph of Louise Bourgeois," 1982

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